ECの近未来あれこれ | ネット小売業から見えるお客のココロ日記

ECの近未来あれこれ

最近、年度末ということもあり、実務に追われながらも、ECの
未来像について色々考えています。

一つの疑問は、「ECは、リアルのスーパーや、百貨店、コンビニと
どこがどう違い、どういう価値をお客さんに提供するべきなのだろうか?」
ということです。

この問いに対して仮説を二つたててみました。

一つは、「リアル型枝分れ導線から、顧客中心
分散型導線へ」
もう一つは、「メディアとショッピング
の融合」
です。

二つ目は、ライブドアの堀江社長が言っていることでもあるので、割愛
して、一つ目について考えてみます。

通常のお店だと、まずお店の入り口に入ってもらってから、
商品を購入してもらうべく、わかりやすい陳列、目を引く
陳列をして、商品の存在を認知してもらう。

ネットでも、この延長戦上で、トップページ→検索(または棚)→
カート投入という行動を導線として想定しています。

でも、実際のところ一番多いのは、そしてこれから多くなるのは
ポータルでの検索(ないしブックマーク)→他サイト
→商品詳細→カート、という動きです。

なぜ、こちらの動きになってきたかというと、もともとECは
「近くのお店のほうがベンリ」という顧客心理がないうえ、
中立的な立場でお客さんに利便性を与えるサイト(価格比較
サイト、ポイントサイト)が急速に力をつけてきたからです。
つまり、よっぽどそのストアに付加価値がない限り
直接そのお店に行くインセンティブが相対的に薄れてきて
います。

価格に重きを置く顧客からみればまず価格比較サイトに行って
確認してから買うのが合理的ですし、ポイントに重きを置く
顧客にとっては他のサイトでも使えるポイントがたまるポイント
提供サイト経由で商品購入をしたほうが、直接お店に行って
買うよりも合理的なわけです。

さらに、ネットの技術の進展により、「欲しい情報だけを欲しいときに
チェックする」志向が強まってくるでしょう。
RSSリーダーに興味のあるワードを登録しておけば、RSS対応のニュース
サイトやブログから、自動的にほぼリアルタイムで関連する記事を拾って
きて、一覧で確認することができます。これは、メルマガより効率がいい
気がします。

こうした顧客にベンリな情報がますますいきわたるにつれ、顧客は情報を
より厳しく選別するようになり、その情報から商品の購入を行うように
なるでしょう。大分以前からこうした情報を多く持った顧客の「プロ
シューマ化」がいわれていますが、本格的にこうした時代が到来する
のではないでしょうか。

顧客を中心に、顧客ごとにカスタマイズされた情報がまわりをとりまく。
ECは、それぞれの情報入手手段(ブログ、RSS、メルマガ、他サイト)
に掲載されるように商品情報、サービスを提供していかなければなら
ない。さらに、コミュニティの進展により、こうした賢い顧客がネット
ワークをつくり、「自分にどういう価値を与えてくれる商品
なのか」という情報武装をどんどんしていくでしょう。

これが当たっており、こうした方向にいくとすれば、正直小売業者として
シンドイ部分が大きい。

でもそのときECはリアルの「おまけ」ではなく、小売業の主役に踊りでる
ことができるような予感がします。

ただ、「個々の小売店→商品」という従来の導線のイメージを持つ
中高齢の顧客は、こうした動きはあまり見られない可能性は高い。
これからこうした世代の購買力は無視できないものにもなるでしょう
から、お店として、「どっちのスタンスでいくか?」が問われるのかも
しれません。ただ、こちらのスタンスだと、どうあがいても、リアルを
しのぐことは難しいのではないでしょうか。