予約の心理学 | ネット小売業から見えるお客のココロ日記

予約の心理学

今日、DVDの「アイロボット」が発売になりました。

わが社でもかなりの数予約が入りました。

リアル店舗と比べて、ネットの店舗が提供できる、「価値」って
なんだろう?この仕事にはじめてから、いつも、この質問は考え
続けていますが、そのうちのひとつとして確実にいえるのが、
「予約」ではないでしょうか。

DVDやCDはHMVやタワーレコードなどの店頭で積極的に予約をとっ
ていますが、それでも予約をとれるアイテム数には限りがある。

まして本なんかは膨大な点数(毎日100冊以上新刊が発売されて
いるのです!)ゆえに店頭で予約をたくさんとるのは物理的に
不可能
です。

一方、お客さんの立場で考えると、「あの作家の新刊は早く、
確実に手に入れたい」「今度の限定版DVDは逃さず、ラクに
(店舗にいかないでも)買いたい」というニーズがあるわけ
です。

ネットは物理的な制限がなく、もともと情報(商品画像や
紹介文、価格)だけで商売をしていますし、検索という
ネットならではの強みがありますから、予約のアイテム数
を激増させることができるわけです。

また、もう一つみのがせないのが、お客さんのニーズが、
「富士山型」から「茶筒型」にうつってきているという
現象です。これは鈴木敏文氏がいっていることでもあり
ます。個々の商品の売上げ曲線が、以前はなだらかに
あがってピークを迎え、じょじょに下がっていく、という
動きをしていた。いまはたくさんものがあふれ、お客さん
の選択肢が膨大になり、発売直後にストンと上がり、ストン
と落ちていく動きになっている。

これが、ネットではもっと前倒しになっており、もう予約の
段階で、ピークを迎えているのです。

「ハリーポッター」が顕著な例でしょう。amazonは8万冊予約
をとったといいますが、他ネット書店でも万の単位いっている
ところが沢山あるはずです。ネットでは、もう予約の時点で、
「勝負あった」
なのです。

このまえの「ハリポタ」最新刊では、各社予約獲得合戦を繰り広げていました。

「抽選でイギリス旅行!」「マジックショーにご招待!」「現金を
抽選でキャッシュバック!」etc. 本の特典とはもはや思えませんね…。
ここまでして、各社予約者の奪い合いをしたわけです。

ただ、面白かったのが一見ネットでは購入比較がカンタンにできますし、
物理的な制約がなく、お店を移るのも1クリックですので、乗り換えを
カンタンにするようにみえますが、意外とめんどくさがりやでもあり
ます。

一度予約をしてしまうと、他で魅力的な特典があっても、よっぽどの
差別化がされていない限り意外と乗り換えは少ないのです。

これから、ますます大型商品は予約の前倒し化がネット上ですすんで
いくことでしょう。