本当のようなウソを見抜く(前編) | ネット小売業から見えるお客のココロ日記

本当のようなウソを見抜く(前編)

 楽しみにしていた新刊を読みました。

 『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」』です。

鈴木敏文氏関連の書籍(自著は厳密には一冊もないのですが)は
全部読んでいます。顧客心理を追求するという意味で、氏の率いるIY
グループ、特にセブンイレブンの思想というのは凄いなあ、と感心さ
せられました。

この本では世の中の人はいかに「本当のようなウソ」にとらわれており
それを見抜き、逆をつくことで成功できる、かつ氏はそれをしてきたか
ら、数々のブレイクスルーを果たした、ということが書いてあります。

成功体験のある玄人より、全くの素人を持ってきた
ほうがいい


たとえば、異業種企業がこぞって参入した新銀行で、唯一3年以内黒字
をなしとげたIYバンク。セブンイレブンに設置されている赤いATMです
ね。そもそも銀行の設置の際から、「なぜコンビニやスーパーが銀行
やるんだ」「素人がやっても失敗するに決まっている」なんて声が主
に金融関係者からごうごうと起こったらしいです。

でも、それは氏にしてみれば従来の事業の延長線だった。日常の動線
上にあるコンビニで、ATMが利用できたら便利。アンケートからも、
それは自明だったそうです。だから、彼にとっては無謀な挑戦でも
なんでもなかった。

設立メンバーは、IYグループ企業からの出向メンバーと、銀行からの
出向メンバー。銀行からの転職組は「銀行はこうあるべし」と固定概
念があったみたいですが、それを全くの素人であるIYグループ側が
小売業の「お客様の立場」からイチから反論し、お互い歩みよって
成功につながった。

僕の仕事を考えても、1年以上同じ仕事をしていると、一通り仕事の
段取りもわかって、いっぱしの「その業界の人」のような感じがして
くるものですが、逆に危険信号なんですね。

このテーマ、なかなか面白いので、次回に続きます。